▲いよいよ北海道登山 - アポイ岳(810m)

2010年05月07日 (金) 01:01



何年か前にローカル線特集本を読んだら、実家の苫小牧からローカル線が出ていると書かれていた。
まぁ苫小牧はローカルと言えばローカルであるものの、そこそこ人口の多いところでもあるし、
さすがにローカル線が走るほどローカルだとは思っていなかったので少しショック。
苫小牧を始点として、襟裳岬手前の様似まで海岸線を3時間強の道程らしい。
 
その時はそれまでだったのだが、最近になってその路線を地図で追ってみたところ、
小学校の頃にテニスの合宿があった「静内」へは、その路線に乗って行っていたようだった。
少し前まで関東圏のローカル線を回っていたこともあり、それなら今回の帰省で乗ってみようと思い、
終点の様似駅周辺の情報を探っていたところ、駅から近いところにアポイ岳なるものがあると判明。

最初は実家の裏にある樽前山に登ろうと考えていたのだけど、今の時季はまだ雪が多く、
山頂間近の登山口が使えないことから断念していたところだったので、
正に渡りに船とばかりにアポイ岳に登れるか調査を開始。
いかにもアイヌ語っぽいこの山は、標高こそ810mと低いものの、
特異な地質や地形が相まって高山植物の宝庫となっており、
「国の特別天然記念物」及び「花の百名山」に指定されている。
情報によると、花はGW頃から咲き始めるものもあるとのことなので、
少しでも見ることが出来ればラッキーというものだ。
ビジターセンターに電話してみると、GWまでに雪が溶け切るか微妙とのことなので、
念の為に軽アイゼンを荷物に加えて帰省した。



当日の天候は快晴。
朝8時に苫小牧発の電車に乗り、乗り換え無しで様似へ直行する。
小学生の頃に乗った時はもっとローカル線の雰囲気が色濃かった気がするけど、
思ったより小綺麗な車両で快適な電車旅となった。

11時過ぎに様似駅。駅前で少し待ってバスに乗り換え、10分程でアポイ岳山荘前に到着。
登山客を迎えるビジターセンターの他に、温泉施設、
キャンプ場やゴーカートを備えた公園などが併設されているので、
ローカル線に乗って辿り着いた山とは思えないぐらい整った登山口だった。



12時、登山届に記帳して入山。
登山口には「熊出没注意」の看板が大きく掲げられている。
関東の山でもお馴染みのものだが、「熊=ツキノワグマ」の関東と違い、
北海道では「熊=ヒグマ」であるからして、大きさも獰猛さもまるで違う。
遭遇がそのまま死亡フラグに繋がる可能性も高いので、嫌でも身が引き締まる。

アポイ岳は天然記念物に指定され、更に王子製紙の保有林にもなっているだけあって、
整備が行き届いており、案内板や熊除けの鐘などが随所に設置されている。
道迷いの心配も全く無く、安心して登ることが出来る。
雨が降っていないのにぬかるんでいる箇所が多いのは、どうやら雪解け水のようだ。
関東圏には無い樹木も色々あって、何気ない道でも目に楽しい。



大きなアップダウンも無く、1時間ほど緩々と歩いて5合目の休憩小屋に到着。
この時点の標高は400m弱と低いが、既に南側が海で拓けており、
ここから上は早くも森林限界を迎えるため、どちらを向いても絶景だった。



ここまでは緩やかで非常に歩き易い道だったのだが、休憩小屋を過ぎると様相が一変。
橄欖岩剥き出しの急斜面を30分ほど登って一気に標高を稼ぎ、「馬の背」と呼ばれる尾根に出る。
身体的には今回の道程で一番シンドい箇所だが、絶景というニンジンが目の前に吊られているので、
ヒーヒー言いながらも何とか登れてしまうのである。



馬の背からは天国のような尾根歩きが続く。
スーパーマリオで蔦に登って雲の上に行ったかのようなご褒美っぷりで、
とても1,000m以下の山とは思えない絶景が360度に広がっている。
道の両脇には高山植物を保護する為のロープが張られているので、
これに沿って歩いて行けば、特に道を誤る心配は無いだろう。
上の写真ではそこそこキツそうに見える箇所もあるけど、
手を使わずにヒョイヒョイ登れるし、命の危険を感じるようなことは無い。
ゴツゴツした岩場ではあるものの、大きな段差が無いので、小学生でも大丈夫そうだ。



山頂まであと20分というところで、遂に雪が出現。
雨が降っていないのに登山道がぬかるんでいたことからも想像した通り、
昨日今日の気温でかなり溶けて、雪に覆われているのは極一部。
傾斜はそこそこあるので、ちょっと気を抜くとスグに転倒しそうになるのだが、
氷結している箇所は無いようなので、アイゼンは使わずに山頂に到達することが出来た。



山頂はダケカンバという白樺に似た木(同じカバノキ科カバノキ属)に囲まれており、
5合目の休憩小屋を出て以降、ここだけが唯一視界の悪いポイントとなっている。
ただ、このダケカンバは森林限界以上では背が低くなり、今は葉も落ちているため、
上空は抜けていて、鬱蒼としたイメージは無かった。

さすがに山頂は一面が雪で覆われ、簡単に腰を下ろせるような場所も無い。
風も強くてそこそこ肌寒かったので、持参したおにぎりを食べて早々に下山を開始。



帰りはずっと、こんな感じの素晴らしい眺めの中を下っていく。
帰路は「幌満お花畑」という高山植物の群落地をトラバースする選択肢もあるのだが、
雪が残る今時季は踏み跡もほとんど無く、当然ながら花も観ることが出来ない。
今回は大人しく、登って来た道をそのまま折り返すことにした。

馬の背まで戻るとパトロールの方が居たので花について訊いてみると、
例年ならもうそろそろ幾つかの花が咲き始めているのだが、
今年は寒さが抜け切らない影響からか、開花が遅れているとのことだった。
花が観られなかったのは残念だけど、これだけの晴天に恵まれただけでも満足なので、
花はまたいずれ訪れたときに楽しませてもらうとしよう。



下山後はビジターセンター近くの「アポイ岳山荘」という温泉で汗を流す。
「山荘」と言うものの、実際には宿泊も可能な温泉施設という感じである。
麓にあるので特に景色が良いというわけでもないが、綺麗でいい温泉だった。

ここからは18時過ぎのバスに乗って駅まで戻るスケジュールだったのだが、
予定よりかなり早く下山していたため、バスが来るまで1時間半ほどあり、
調べると駅まで徒歩で1時間とのことだったので、そのまま海岸線を歩くことにする。
暮れる夕日に相対するようにして、写真を撮りつつ駅に向かう。
駅は襟裳岬とは逆方向なので、今回の行程で襟裳岬を拝むことは出来なかったけど、
代わりに「エンルム」という岬に日が沈む景色を眺めることが出来た。

18時を過ぎた海岸線は風もそれなりに強く、風呂上がりの身体には結構寒い。
寒さも想定してダウンジャケットを携帯してきて正解だった。
1時間弱で駅に到着し、残りのおにぎりを頬張りつつ列車を待つ。
30分ほどで18時半発の最終列車がやってきて、そそくさと乗り込む。
幾らも経たない内に窓の外は夜の帳に覆われ、ほとんど何も見えなくなった。

帰りの列車ではほとんど寝ていたのだが、一度急停車した時に目が覚める。
アナウンスでは「鹿が線路内に立ち入ったため…」と説明していた。
いかにもローカル線らしいアクシデントで微笑ましい。
それ以外では特に何事もなく、予定通り21時半に苫小牧駅に帰着。
実家の裏山以外、北海道の山に登ったことが無かったので少し緊張もあったけど、
これ以上無いぐらいの晴天に恵まれ、とても素晴らしい山行となった。

イヤイライケレ アポイ!(アイヌ語で「ありがとう」の意)





【 登山データ 】

アポイ岳 810m(北海道)
コース:様似駅→アポイ山荘バス停→アポイ岳ビジターセンター→五合目休憩小屋→馬の背→
    アポイ岳山頂→馬の背→五合目休憩小屋→アポイ岳ビジターセンター→アポイ山荘→様似駅

苫小牧から電車でアクセスしようとすると、8時出発→21時帰着のスケジュールで固定となる。
駅前には少し離れた位置までコンビニが無く、必要なものは事前に買い揃えておく方が良い。
山に関する最新情報はビジターセンターで一通り入手出来る。
トイレ・水場が登山口以降に無いので注意。道迷いの心配は無い。
5合目までは緩やかな森林、5合目以降は一転して岩場歩きとなる。
森林は緩やかでストックを使うまでもなく、岩場ではかえって邪魔なので、
個人的にはストックは不要なコースだと思う。


▲我が山の原点 - 樽前山(2005.09.24)

アポイ岳ファンクラブ
アポイ山荘
コメント
コンニチハ。素敵な休日ですね。新緑が美しい、と思いきやまだ雪もあって変化に飛んでますね。下山の風景はとっても素敵だけど、ちょっとスリルありだわ。
夕方の風景もまた良いですね。
ヒイヒイいいつつつも意地でも頂上まで登る。そしてまたチャレンジしたくなる。山登り。したいなあ。
  • by yuki
  • 2010/05/08 4:43 PM
下山の風景は雄大だけど、足下は案外危なくないから、実際はかなり気軽に登れる山だよ。
まぁ、登るまでのアクセスが尋常じゃなく面倒なんだけど…(笑)

山は細かいこと考えなければいつでも登れるし、
登れるようになった時に声を掛けてくれれば、セッティングしますよん。
子供でも5歳ぐらいになれば普通に登れるしね〜
あぽぃ!

コノヤマイイネ。大菩薩好きにはたまらない。何より名前が良い。
えーと大菩薩最高ですた。ピーカン天気で眺め最高、しかしさすが2,000m、風が冷たかった。いろいろ経験値増えたトレックでした。みんなで行けたらいいねぇ。
  • by hikaru
  • 2010/05/10 3:52 PM
海まで間近に見渡せる眺めってのは、関東の山ではなかなか得難いロケーションですな。

大菩薩は登山口の時点でも結構涼しいよね。
難易度的に大菩薩単体だと少し食い足りなかったので、
出来れば奥多摩湖方面に抜けるようなコースプランを考えたいところっす。
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