▲予期せぬ落とし穴 - 本社ヶ丸・鶴ヶ鳥屋山(1,631m)

2010年10月20日 (水) 10:36



あまりメジャーな山ではないが、どちらも中央本線沿線にある山梨県の山。
それぞれ"ほんじゃがまる"、"つるがとやさん"と読み、本社ヶ丸は山梨百名山の1つ。
位置的には夏に登った三ツ峠山や去年登った高川山の近く。
2日前まで「雨」の予報だったけど、前日に「晴れ→曇り」に変わったので登ってきた。
 



出発の時点では完全な曇天模様で、予報前半の「晴れ」の気配は感じられない。
今回のルートは駅からスタートして駅に下りるので、時間の自由が利くのがポイント。
中央本線の笹子駅に8時着、まずは1時間強の車道とダート歩きから始まる。
この車道歩きは正直あまり見るべきものが無く、トンネルが1つと変電所があるぐらい。



砂利道が終わるとようやく登山口。登山者ノートに記帳して早速スタート。
カラマツが茂る狭い山道をひたすら登る。
狭い上に枝葉が低く茂っているため、想像よりも歩き難く消耗が早い。
明確な休憩ポイントは途中のベンチ1つしか無く、展望が得られるポイントもあまり無い。
駅からの車道歩きを含め、ここまではかなり地味な道程と言える。



駅を出発して2時間強、唐突に現れる岩場を登ると、
ようやくのビューポイントとなる"清八(せいはち)山"に到着。
当日の曇天でほとんど期待していなかったが、我々が到着した直後に一瞬だけ雲が取れ、
遠くに富士山を見ることが出来た。
5分も経つとまた雲に覆われてしまい、この日再び姿を見せることは無かったので、
一瞬だけでも見ることが出来て、非常に運が良かった。
抜群に天気が良いと、甲斐駒ヶ岳や北アルプスなども見えるらしい。



清八山から雑木林と岩場の小ピークを幾つか越えて、30分弱で"本社ヶ丸"に到着。
駅からここまでの時間を確認すると、参考タイムより1時間早い到着だった。



空はうっすらと青みがかってきたものの、やはり富士山は隠れたまま。
こちらの山頂も晴れていればなかなか景色が良さそうだが、
個人的には先の清八山山頂の岩場の方がダイナミックな景色で好みだ。



山頂はあまり広くないが、我々しか居ないので自由に腰を下ろして昼食にする。
この時間帯は風も無く、晴れとまでは行かないまでも、適度に日が差して快適。
食事が終わる頃に5人ぐらいの高齢のグループがやって来たので、
場所を譲る形で我々は次の目的地である鶴ヶ鳥屋山に向けて出発。



言われなければピークだと気付かないぐらいに慎ましい"角研(かどとぎ)山"を通過。
本社ヶ丸以降は道幅もそこそこ広くなり、送電線の鉄塔やウインチの残骸を見つつ歩く。
看板では鶴ヶ鳥屋山まで150分と書かれていたので、それなりの長丁場を想像していたが、
思ったよりもすんなり、2時間ジャストで到着。

鶴ヶ鳥屋山の山頂は、本社ヶ丸とは打って変わって木に覆われた静かな山頂。
展望は無いが、広々としていて腰を下ろすには丁度良いので、コーヒーを淹れて小休止。
本社ヶ丸以降は立ち枯れしたブナにキノコがびっしりという場面が多いなと思っていたら、
山頂の看板にはキノコが供えられていた。



我々は大抵、不測の事態への対処も兼ねて休憩時間を多めに設定しておき、
実際にはそれよりも短い時間で出発することで余裕を持たせているのだが、
今回は鶴ヶ鳥屋山を出発する時点で予定より2時間早かった。
すんなり行き過ぎてちょっと食い足りないかなと思っていたら、実はここからがこの日の本番。

ここまでは全体的に案内板なども整備されて道迷いの心配は無かったのに、
鶴ヶ鳥屋山以降はところどころでそれが消失していたり、
目印があっても微妙に信憑性に欠けていたりする箇所があった。
道自体も道と言えば道のような、ただの踏み跡のような、怪しげなところが多く、
滑り易い急斜面が続く中では、少し間違えた場合でもリカバーはかなり困難。

地図上で一旦車道に出ると書かれていたので、目印を見失いつつも車道を目指していたら、
車道は見付けたものの、落石防止の為にコンクリで固めた斜面に行き当たってしまった。
落石を受け止める金網がぐるりと張られていて越えられず、
金網の途切れた箇所を見付けたので、コンクリを滑り降りることが可能か確かめようとしたのだが、
登山靴がコンクリ部分に全くグリップせず、ブレーキが利かないので危険と判断して断念。

目印を確認出来た地点まで登り直して戻ろうとしたら、足場がザラザラと崩れ始めて、
身体がコンクリの斜面に投げ出されてしまった。
靴はほとんどグリップしないので、足の力で這い上がることが出来ず、咄嗟に掴んだ細い枝だけが頼り。
しかし、その枝も身体を固定することは出来ても、そこから這い上がるために力を掛けると、
ミシミシと音がして折れそうな頼りない強度で、この時はここ数年の登山経験の中で、
初めて怪我をするかもしれないと覚悟する必要に迫られた。

結局、細い枝を幾つか経由して太い幹に辿り着けたので、間一髪で無傷の生還。
その後も崩れまくる斜面を何とかよじ登りつつ、見失った目印を探して1時間近くロスしてしまった。
2時間のプールがあったのでそれ自体は致命傷とならずに済んだが、
時間ギリギリのスケジュールだったら日が暮れてしまう可能性もあるだけに、
余裕を持った計画を立てることの重要性を再認識することになった。

ちなみに道を誤った直接の要員は、急斜面を下りる最中に目印を消失したからで、
復帰後に正しいルートを捜索し直した結果、不明瞭な道の先に白いテープを発見した。
それまでは赤いスプレーかピンクのテープが目印になっていたのだが、
何故ここだけ唐突に白く、しかも細い幹にピタッと巻かれたテープになっているのかは不明。
その後も先の失敗からかなり用心深くなっていたにも関わらず、ルートが不明瞭となる箇所が度々あった。



これまた分かり難い登山口を出ると、しばらくの砂利道歩きを経て初狩駅に到着。
最終的に当初の参考タイムからは1時間早く下山。前半の貯金が活きた格好だ。
右の写真はリニアモーターカーの実験線。すぐ下に墓場があるという、不思議な構図である。

この辺りは案内板などの設置がしっかりされている山が多く、
今回はその延長という感覚で少し油断があったことは否めない。
山自体に特筆すべき点は無かったけど、大きな代償を払わずに重要な体験をすることが出来て、
個人的には非常に有意義な山行となった。




【 登山データ 】

清八山 1,593m 〜 本社ヶ丸 1,631m 〜 角研山 1,377m 〜 鶴ヶ鳥屋山 1,374m(山梨県)
コース:
笹子駅→奥野稲荷神社→東京電力 山梨変電所→清八峠→本社ヶ丸→角研山→鶴ヶ鳥屋山→初狩駅

参考タイム:8時間半(山と高原地図参照)/ 実測タイム:7時間半(休憩時間含まず、道迷いで1時間)

登山道までは長く緩やかな舗装路と砂利道が続く
登山道以降、清八山まではカラマツの生い茂る狭い道をひたすら登る
清八山から先は多少の岩場登りが発生するが、体力的にシンドイところは無い
笹子駅にはコンビニ等が無いので、買い物はそれより前の時点で済ませておく必要がある
清八山への登山道が始まる手前に仮設トイレがある
鶴ヶ鳥屋山以降は道が不明瞭な箇所が度々出現するので、目印を見失わないように注意
"ヤブ漕ぎ"とまでは言わないが、初心者的にはそう感じるような箇所もある
この周辺には小さな鉱泉が点在するだけで、大きな浴場施設が無いので、
探す場合には八王子辺りまで戻ってしまう方が手っ取り早いかもしれない


▲三ツ峠山(2010.07.20)
▲高川山(2009.10.14)
山梨百名山(富士の国やまなし 観光ネット)

コメント
わかる。
俺も棒ノ折(棒ノ嶺)で下山コースに落合経由で下山したら本当に怪我と遭難するかと思った。同じように引き返すのも大変だけど、絶対に引き返すのが吉。本当に良い経験になったね。

情報、近々共有したいっす。
  • by hikaru
  • 2010/10/20 12:29 PM
引き返せるなら引き返すのがベストだけど、本当に遭難すると引き返すルートすら分からなくなるからねぇ…

最近は読図を学ぼうかとも考えるものの、なかなか普通の山で読図しながら歩くのは敷居高いっすわ。
まぁ、読図を学ぶことを目的にしたプランを立ててみるのがいいのかも。
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