▲久々のスパルタ単独行 - 檜洞丸(1,601m)

2012年08月15日 (水) 23:10



GW以来ドタバタしていて、自分でも意外なぐらい山に登れない日が続き、
気が付けば3ヶ月が経とうとしていた。
精神的にはともかく、肉体的にはそろそろフラストレーションが限界値を迎えそう。
今週末には八ヶ岳に登る予定なので、ちょっとは身体を慣らしておきたい。
候補となる山は2つあったが、天候が微妙なので丹沢の檜洞丸に登ることにした。

檜洞丸は西丹沢に位置する、丹沢第4の標高(1,601m)を持つ山。
但し、第2の不動ノ峰(1,614m)と第3の鬼ヶ岩ノ頭(1,608m)は、
塔ノ岳方面から第1の蛭ヶ岳(1,673m)に向かう途中の小ピークに近い存在なので、
単体で登る山としては檜洞丸が実質第2の標高と言っていいだろう。

シロヤシオやトウゴクミツバツツジで有名なので、5〜6月に混雑する山だが、
公共交通機関によるアクセスが少し面倒なことと、全体的に展望がイマイチなせいか、
それ以外の時季ではそこまで登山客も多くないようだ。
ブナが多く生えるため、晴れても山頂からの展望は望めないが、
霧が発生する状況での神秘的な雰囲気を紹介されることが多い、特殊な性質を持つ。
ここ数日は天候が安定せず、快晴を期待出来ない状況が続いていたので、
これを機会に前々から気になっていたこの山に登ることにした。



小田急線の新松田駅から西丹沢自然教室行のバスに乗って、
終点の西丹沢自然教室まで69分。
タイミングを図れば、自宅から電車の乗換1回で新松田まで行けるし、
バスは終点まで乗るので、座ることが出来れば寝ていくことが可能。
昨年の春に登った大野山を左手に見つつ、8時半に到着。
この日は月曜日だが会社がお盆休みだったので、電車もバスも座れて快適だった。

西丹沢自然教室で下車したのは、自分を含めて5人。
全員男性だけど、この中では多分自分が一番若輩だろう。
この辺りは中川沿いに大規模キャンプ場があり、お盆休みのこの日は人で溢れていた。
ちょっと人が多過ぎるのと、設備が整い過ぎている嫌いはあるが、
小さい子連れで行くならなかなか良さそうなキャンプ場のようだ。



西丹沢自然教室は月曜が休館日なので、この日はトイレぐらいしか使えなかったが、
週末であれば更衣室や交流スペース等が活用出来る。
入口に登山届が置かれているので、それだけ記入して出発。
しばらくはキャンプ場を見下ろしながら、川沿いの道を歩く。

途中で今日歩く予定の「ツツジ新道」と、初心者コースとの分岐が出現。
初心者コースというのは地図やガイド本でも見たことが無く、
多分沢沿いを歩いていくコースのようだが、現在は大雨の影響で通行止め。
どちらにしても情報を仕入れていないコースをその場で選択することは無いので、
今回は予定通りツツジ新道で登る。



ツツジ新道の登山口。パッと見でどこから登るか分かり難い。
先行していた2人組が往生していたので、横を通り抜けて沢から離れるコースを発見。
沢から離れる際に少しだけ上りがあるものの、その後はしばらく傾斜の無い緩やかな道が続く。
多少道が細くなっていたりして不安定なところはあるが、全体としては危なげのないコースだ。
ちなみに檜洞丸の山頂は1,601mで、登山口の標高は600m弱。
前半楽に歩いている分、どこかで強烈な帳尻合わせが待っているということである。





最初から急坂が出て来るよりはマシなのだが、楽な内にある程度意識的に負荷を掛けて、
キツい状態に合わせて身体をセッティングしておく必要がある。
個人的な経験上、一度出来てしまったペースを後から押し上げるのは、
体力の消費が雲泥の差になるので、なるべく最初に高めのラインで設定しておきたい。




ほとんど平坦な道のまま、35分でゴーラ沢出合に到着。
多分、初心者コースとはここで合流しているのだと思われるが、
中ぐらいの岩がゴロゴロしており、増水時の危険性は一見して分かる。
この日はここまで曇りがちな空が続いていたが、このタイミングで少し陽が差した。
ツツジ新道全体を通しても貴重な視界が開けるポイントなので、
沢のせせらぎと一緒に貴重な夏の日差しも堪能。



岩場を少し進むと、「展望台・檜洞丸」と書かれた看板と共に、コンクリ製の急階段が登場。
ある程度覚悟はしていたけど、想像通りの急坂がスタートした。
ゴーラ沢出合の標高は800m弱なので、山頂まではあと800m強。
危険な箇所があるというわけではないので、ゆっくり登りさえすれば特に問題無いのだが、
この日は自身のリハビリを兼ねているため、無理の無い範囲で多少ペースアップしたい。



ゴーラ沢から50分で展望園地と呼ばれる地点に出る。
晴れていれば近くに畦ヶ丸、遠くに富士山まで見渡せるらしいのだが、
残念ながらこの日は苦しそうに頭を出している畦ヶ丸までが精一杯。
ゴーラ沢以降は上り一辺倒でほとんど休憩ポイントも無いような道だったので、
景色が良ければここで多少ゆっくりしようかと思っていたが、取り止めて先を急ぐ。




展望園地以降も休憩ポイントが少ない、上るばかりの道が続く。
時々鉄梯子や鎖が出て来ることもあるが、ほとんど補助的なものなので、
全体としては展望の無い斜面をひたすらダラダラと上っているような印象を受ける。
傾斜自体は急坂と言うほどキツくはないけど、決して楽とも言い難い。
ちなみにこの辺りから徐々にブナが増え始める。



山頂手前30分ぐらいの場所から、登山道が植生保護のための木道が登場。
この木道はガッシリしていて滑り難く、この頃から傾斜も穏やかになるので歩き易い。
時季が良ければバイケイソウとマルバダケブキが一面に広がるらしいのだが、
夏の最中ではややぐったりとしたマルバダケブキが見られる程度である。



木道の出現と時を同じくして、辺りは霧とブナに囲まれた静謐な森に変わる。
この光景は写真で散々見ていたのだが、実際にその場に立ってみると、
なるほどこれは"神秘的"の一言に尽きる。
真夏だというのにひんやりと涼しい風が通り、半袖では薄ら寒いぐらいだ。



少し歩いて発電設備を横目に見つつ、山頂への最後の坂を上るタイミングで、
何とも絶妙に一瞬だけ霧が晴れて青空が覗いた。
この日の展望は諦めていたけど、この場所で空を見せてくれるなんて、最高の演出だ。



11時半より少し前に山頂に到着。自分の前には1組だけ、先客が居た。
山頂に到着した瞬間にはもう再び雲に覆われていて、晴れ間はほんとうにさっきの一瞬だけ。
山頂は木に囲まれて展望は無いけど、比較的広くて上が抜けているので、割と解放感がある。
霧中での幽玄さという点では、山頂よりも少し手前のエリアの方が雰囲気を感じる。



しっかりとした木組みのベンチが点々としているので、座る場所の確保には困らない。
今回の昼食は夏山恒例の冷たい麺シリーズ、"冷やし担担麺"。
2リットル分の氷と一緒にパッキングしてきたので、夏でもキンキンに冷えていて旨い。




今回は下りがそこそこ長いので、30分程の滞在で山頂を出発。
檜洞丸はアクセスルートが幾つかあり、この山をメインに据えた場合には大体3〜4ルートだが、
地図やガイド本、山荘のサイト等、媒体によって各ルートに対する評価がまちまちである。
上りで使ったツツジ新道が最も整備されていて安心というのは共通しているのだけど、
それ以外のルートはどの情報をアテにするかによって、選択を左右しかねない。

上りとは別ルートで西丹沢自然教室方面に戻ろうとした場合、
北上して熊笹ノ峰・犬越路と大回りで下りるルート、
南下して石棚山を経由、西丹沢自然教室より手前のバス停に下りるルートの2つ。
熊笹ノ峰からさらに北上して神ノ川に下りるルートもあるが、
バスの乗継が発生したりして少し面倒なので今回は候補から除外。



地図とガイド本を見る限り、犬越路ルートの方が難易度が高く、コース長もかなり長い。
今回はなるべくスパルタで行こうと思っていたので、この犬越路ルートで下山する。
山頂からの下り口に立て看板があり、上のような注意が書かれていた。
事前に情報収集していたので、ある程度そのような状況であることは把握していたのだが、
こうして現地で改めて警告を受けると身が引き締まる。




山頂出発直後の北側斜面。
警告通り、見事なまでに崩壊が進んでおり、不安定な足場が断続するので注意が必要。
この先もずっとこんな調子なのかと少し不安になったが、
このルートではこの山頂直下の区間のみが酷く崩壊しているだけで、
それ以降はそこまで極端な状況ではなかったので一安心。



下山開始から霧は濃くなる一方で、視界不良とまではいかないまでも、
目の前の斜面以外はほとんど見渡せないような状況が続き、
夏の最中とは思えないぐらいにひんやりとしている。
ヤセ尾根上は風が強く、時折木々の葉に着いた水滴が飛んできた。
霧の向こうに何かあるなと思って近付いたら、雌鹿の群れだった。




山頂から30分〜1時間ぐらいの区間は大笄(おおこうげ)・小笄(ここうげ)と呼ばれ、
鎖場やハシゴが幾つか登場する。
落ちたら大怪我に繋がりそうな箇所は1〜2つしか無いが、
この区間も含めてしばらくはザレた岩場が続くため、体力・気力共に若干消耗が激しい。



一番高度があるクサリ。
足掛かりは細かくあるので、体力や技術は特に必要としないが、
傾斜としてはそれなりに急なので注意が必要。



小笄以降もザレた岩場と背丈ほどの熊笹を掻き分ける、地味にシンドい道が長く続く。
山頂以降の案内板はほぼ「犬越路」とあるだけなので、進んでいる感覚が乏しい。
この頃になると、時折雲が途切れて左右の山々を見渡せる瞬間があり、
それを心の支えにして黙々と犬越路を目指す。




正面の山の中腹に突如埋め込まれたように出現する「犬越路避難小屋」。
山頂から約2時間、ここに来てやっと1つ目のベンチ。
避難小屋は築浅でかなり綺麗。トイレもある。

犬越路からは再び熊笹のトンネルを抜けて、涸沢沿いを1時間弱歩く。
この涸沢がまた非常にザレていて、ここまでで消耗していると簡単に転びそうになる。
水が流れていない狭い涸沢は風が吹かず、ひたすら蒸し暑くてストレスが溜まる。
結構長く感じるエリアなので、時間に余裕があるなら犬越路でしっかり休憩してから歩きたい。

普段は「山と高原地図」に記載されているコースタイムよりも短縮して歩くのが基本なのだが、
この区間に関しては、むしろコースタイムより若干多く時間が掛かってしまった。
運動不足で久し振りの山行とはいえ、あまり経験が無いことなのでいい教訓になりそうだ。
ただ、下山中に遭遇したのは2人だけだったが、いずれも自分が追い抜く側だったので、
自分のペースがそこまで遅かったということではなかったように思う。




用木沢に出るとちゃんと水が流れ、足場も安定してスムーズに歩けるようになる。
用木沢には所々で橋が架けられ、何度か沢を跨ぎながら進むことになるのだが、
最初に一度だけ自分で岩場を渡っていかなければならない場所があり、
増水が懸念される場合には事前に情報収集しておく方が良さそうだった。
ちなみに用木沢は非常に水が綺麗で、時々ブルーに見えたりして清涼感抜群。



犬越路から1時間ちょっとで用木沢出合に到着。
この辺りはもうキャンプ場エリアの終点に位置しているので、登山道はここで終了。
少し歩けば自販機もあるし、今の時季はキャンプ客で賑わっている。
ここから20分ほど車道を歩けば、ツツジ新道の登山口を横目にしつつ、
出発地点の西丹沢自然教室に戻ることが出来る。

15時40分のバスに丁度乗れるタイミングだったので、10分も待たずに乗車。
バスが発車した途端に大雨が降り出して、キャンプ場の人達は大変だったと思われる。
このバスを逃すと次は1時間半後だったので、ベストなタイミングで下山出来たと言える。





湿度が高い環境では発汗が多くなって水分摂取が増えることから、
今回はリハビリも兼ね、いつもより多い2.5リットルの水を背負っていた。
ザックは26Lの日帰り用だったが、装備重量としては1泊用に近付けてある。
運動不足+夏の低山+高ウェイトという条件に加え、
実は前夜に食べ過ぎて下山直前まで腹調子が荒れ模様というコンディション。
いつもは出発前におにぎりを2つ食べるのだが、上記の不安からウィダーに変更。
即効性はあるものの、やはり腹持ちせず、これが一番のマイナス要因だった。

以上を踏まえると、全体としてはまずまず悪くない山行だったと言えそうだ。
数年前から候補に挙げていた山なので、望ましい天候の中で登れたのも良かった。
久々の筋肉痛も週末の八ヶ岳までには治まっているだろうし、万全の態勢で迎えたい。

 





【 登山データ 】 檜洞丸 1,601m(丹沢山系)

コース:西丹沢自然教室 → ゴーラ沢出合 → 展望園地 → 檜洞丸 → 熊笹ノ峰 →
→ 大笄 → 小笄 → 犬越路 → 用木沢出合 → 西丹沢自然教室

・西丹沢自然教室〜ゴーラ沢出合〜檜洞丸(ツツジ新道)
出発地点周辺はキャンプ場になっているため、売店やトイレなど、一通りの設備は利用出来る。
登山口は沢伝いの道に見えるが、すぐに沢から離れて緩やかな山歩きとなる。
ゴーラ沢以降はそこそこの傾斜をダラダラ登り続けることになり、
展望園地までベンチ等の休憩向きな場所が出て来ない。
自分で意識的に休憩を挟まないとバテる可能性があるので注意。
木道が出て来ると、山頂までの間で体力を消耗するポイントは無いので、
クルーダウンを兼ねてのんびり景色を楽しみたい。

・檜洞丸〜熊笹ノ峰〜犬越路〜用木沢出合〜西丹沢自然教室
熊笹ノ峰から用木沢出合直前まで、気が抜けない道が続く。
犬越路以降はそれほど危険な箇所は無いが、ここまでに消耗していると
涸沢のザレた足場で足を取られる可能性が高くなるので体力配分に気を付けたい。

ちなみに往路・復路合わせて約10人の登山客に会ったが、
その内半数強がトレッキングポールを使用していた。
この山は鎖場やハシゴ以外でもポールが邪魔になるようなポイントが多く、
ツツジ新道等の木道では道幅の関係上使いづらかったりもするため、
ポールとの相性はかなり悪い部類に含まれるように思う。
そこそこキツい山なので、使いたくなる気持ちは勿論分かるのだが、
頻繁に収納しなければ危険なことまで考えると、持って行くかどうかは熟考が必要。

あと、途中からGPSロガーが現在地を捕捉しなくなっていたようで、下山してから気が付いた。
再起動すれば捕捉し直せるようなので、次回からはたまに確認しながら登るようにしたい。


 
▲丹沢山〜蛭ヶ岳(2010.08.30)
▲塔ノ岳〜丹沢山〜蛭ヶ岳(2008.11.04)
西丹沢自然教室 / 青ヶ岳山荘
 

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