▲山と温泉の協奏曲 - 那須岳 1日目 (1,917m)

2017年07月15日 (土) 23:50

去年は各人色々あったため、一昨年の丹沢 以来、2年ぶりの泊り山行を計画。
3月の時点で候補地の選定を開始して、4月には宿の手配を済ませる渇望っぷりだった。
そんな満を持しての山行に選ばれたのは、茶臼岳・朝日岳・三本槍岳などから成る那須岳。
前日に1人が欠けるアクシデントと梅雨終盤の不安定な天気を乗り越えて、いざ出発!


金曜夜、仕事を終えて帰宅。
奥様に少しばかりお高いケーキを供え、24時少し前にマイカーで自宅を出発。
まずは吉祥寺駅前で1人目、続いて環八→東京外環で東川口駅で待つ2人目をピックアップ。あとはひたすら真夜中の東北道を北へと突っ走る。

それほど変化が無いのでドライブとしては面白みに欠ける道だけど、スイスイ進むので疲れない。
快調に飛ばして、明け方4時前には 那須ロープウェイ 山麓駅の駐車場に到着した。
標高1,390mということで、半袖では若干肌寒いぐらいの気温だ。

とりあえず、7時半のロープウェイ始発に備えて車中で仮眠を取る。
車内は比較的広いPorteだが、大の男3人が横になるスペースは勿論無いので、各々シートで身体を折り畳んで寝るしかない。

 


6時45分に起床。
到着時点では他の車は見当たらなかったが、始発に向けて続々と駐車場に入ってきている。
テキパキと着替えて朝食を済ませ、とりあえずロープウェイ山麓駅へ。
正面には最初に登る茶臼岳が堂々たる山容で待ち構えている。

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ロープウェイは予定通り7時40分から運行を開始するとのこと。
ただ、天気予報では午後から急激に悪化することになっていて、特に雷への注意が必要な状況だ。
雨風や雷でロープウェイの運行を中止するので気を付けるよう、幾度となくアナウンスされている。

ちなみに明日もこのロープウェイに乗って下りるので往復チケットを買いたいところだが、チケットの有効期限は当日のみとのことで、都度片道チケットを買う必要がある。うっかり買わないように注意。




 


始発便に乗り込み、5分で山頂駅に到着。標高は1,684m。
既にその辺の山より標高が高く、火山で樹木がほとんど生えていないため、展望は抜群。
自身が一切頑張らずにこの展望というのも、我々としては若干尻の座りが悪い感じなのだが、今日はここから先がそこそこ長いし、天候を踏まえて時間との戦いという側面もあるので、たまにはこういうのも良いだろうと頭を切り替えることにした。




茶臼岳の山頂までは標高差200mちょっと。時間にして30分という短い道程。
半ば観光地っぽい感覚で訪れる人も居るぐらい登山道が整備されてはいるが、溶岩が固まった地面はそれなりに凹凸があり、ザレているので言うほどお気軽ではない。
また、割と最初からそこそこの傾斜を一気に登るので、あまりに調子に乗って消耗すると、茶臼岳以降でバテる可能性もある。後々を考えてペース配分したいところ。

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途中の分岐を西に折れて、大きな岩がゴロゴロ転がるエリアを進み、鳥居が見えたら茶臼岳の山頂。標高は今回登る3つのピークの中で中間の1,915m。
小さいが那須嶽神社の社もあり、ここが山岳信仰の対象であることを感じさせてくれる。
茶臼岳は火山であり、那須岳の中で唯一火口を持つ山だが、火口はなだらかで砂利だらけなので、山頂からの景色は想像していたよりも幾分地味な感じだった。(勿論、外側の景色は見事の一言)
一ヶ月前に 八丈富士 の凄まじい火口を見たばかりなので、余計にそう感じたのかもしれない。

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山頂ではとりあえず写真だけ撮って、休憩もそこそこに時計回りでお鉢巡りをスタート。
火口はあまり広くなく、外周部の登山道も緩やかなので、サクサク歩くとものの10分で終わってしまう。
ここから"峰の茶屋跡避難小屋"まで200mほど下り、上り返して朝日岳に向かうことになるが、今回のコースではこの区間が一番「ワンダー!」な感じである。
山頂はちょっと地味だった茶臼岳も、一旦下ってから見上げるとやはりドッシリと絵になる存在感。微量ながら噴煙が上がっている箇所もあり、火山であることを再認識させられる。

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茶臼岳の火口から20分ほど下り、8時40分に峰の茶屋跡避難小屋。
宿泊禁止だが、避難小屋としての造りは立派なものなので、あまりに酷い天候なら迷わず利用したい。
ちなみに茶臼岳からこの辺りまでは、docomoの電波が通じていた。

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峰の茶屋跡避難小屋から朝日岳に向けては、那須岳の中では比較的緊張感がある区間。
僅かだが片側が切れ落ちて鎖が設置されている箇所もあり、強風や雨の場合には注意が必要。
また、この先からは基本的に電波が通じなくなると考えておく方が良い。




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15分ほどで"朝日の肩"と呼ばれる分岐に到着。(山と高原地図では"朝日岳分岐")
東に10分弱も上れば朝日岳山頂、北に進めばその先に三本槍岳などが待つ清水平へと繋がる。
朝日岳は遠くから見るとゴツゴツとした鋭峰だが、分岐から山頂までの登山道は広く歩き易い。




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9時20分、朝日岳山頂。
山頂は見た目通りに狭いが、コース上の他の山と比べて特筆すべきものがあるわけではないし、ここに長く留まるケースは少ないと思われる。人で溢れかえる心配はあまり無いだろう。
名前の通り、日の出を待つスポットとしては抜群のロケーションなので、出来ればそうしたいところだが、今回宿泊する三斗小屋温泉から向かうには夜中に出発する必要があるため、今回は見送った。



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ここからを先どうするかが、今回のポイント。
元々はこのまま三本槍岳まで登ってから三斗小屋温泉に向かうスケジュールを組んでいたのだが、三本槍岳を明日に回して、この日は三斗小屋温泉にさっさと向かうプランも用意してある。前者なら小屋到着は13時、後者なら11時頃になる。
この時点の空模様は雲がそれなりに多いものの、ここ2〜3時間での急激な悪化は考えづらい。また、明日も天候は似たり寄ったりで悪化する可能性もあるため、今日の内に三本槍岳に向かうことにした。
勿論、途中でも雲行きが怪しくなれば即座に引き返すのは言うまでも無い。

 


朝日の肩まで戻り、今度は北上。
熊見曽根を過ぎて清水平までの尾根道が終わり、一転してハイマツの樹林帯を進む。
北温泉分岐を越えると笹に覆われた狭い道が始まり、木道が敷かれた湿地帯を通過。
正面に聳える三本槍岳は名前から急峻を想像しがちだが、会津・那須・黒羽の3藩が領地確認のために槍を立てた故事に由来するそうで、実際には緩やかでどっしりとした山容だ。

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10時30分、三本槍岳に到着。標高は茶臼岳より2mだけ高い、那須岳最高の1,917m。
山頂はかなり広く、大勢での大休止にも適している。
今のところ雨の心配は少なそうだが、雲が多くなりはじめ、既に遠くの山々を視界に収めることは出来ない。
晴れていれば磐梯山や吾妻山、燧ケ岳や 以前登った日光白根山 等の錚々たる顔ぶれを拝めるようだ。
背負ってきた氷水でアイスコーヒーを堪能して、いよいよ三斗小屋温泉を目指す。

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来た道を戻り、熊見曽根から西に下りて三斗小屋温泉へ。
12時に隠居倉を通過して、ここからは山の斜面を伝い歩く地味なコースとなる。
展望は地味だが足場は細かな岩がゴロゴロ転がっていて、体力を消耗していると思わぬ怪我に繋がる。




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隠居倉から20分程下ると源泉地が現れ、目指す三斗小屋温泉は目と鼻の先。



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今回のルートは東側から三斗小屋温泉にアクセスする形で、これはどちらかと言えば裏手に出る恰好。
直前には温泉神社なるものがあり、あまり味気の無い適当な印象の外観だが、注目すべきは中に祀られた木彫りの社殿。
日光東照宮の造営に携わった彫刻師が、保養に来た際に製作したものと伝えられているとのことで、小さいながらも変態的(誉め言葉)に精緻な彫刻は一見の価値がある。


 


12時半に三斗小屋温泉に到着。
三斗小屋温泉には 大黒屋煙草屋旅館 という2軒の旅館があり、東側からは煙草屋の裏に繋がっている。
どの登山口からでも2時間近く歩く必要があるが、かつては5軒もの旅館があったらしい。




今回我々が宿泊するのは、煙草屋旅館。
到着時点では我々の他に、ほぼ同刻に到着した客が1組だけ。
我々の割り当ては3階(最上階)奥の"きすげ"という部屋だが、元々4人での予約だったため、3人だとかなり余裕のある間取りである。
山小屋風ながらも一応ちゃんと旅館なので、個室が基本で寝具もしっかり用意されている。
山小屋として考えれば当然だが、部屋にコンセントは無いのでスマートフォン等の充電は出来ない。
勿論、携帯の電波は通じないため、宿には衛星電話が設置されていた。

部屋は内側から施錠出来るが、外側からは施錠出来ない。(鍵を渡されない)
つまり、部屋を空ける際に鍵を閉められないということになるため、貴重品を置きっ放しには出来ない。
旅館全体としてもロッカー等は設置されておらず、貴重品を携行出来る用意をしておくと安心だ。
特に入浴中の管理が問題になるので、自分の場合はスマートフォンと財布を持ち込めるように、常に防水ポーチを持ち歩くようにしている。






露天風呂も内風呂も混浴だが、露天風呂は15〜17時が女性専用、内湯は18〜19時が女性専用となっている。他に女性専用の内湯もある。また、内湯は20時半までだが、露天風呂は朝6時半まで利用が可能。

しばらくすれば他の客も続々到着すると思われるので、混まない内に露天風呂に向かう。
写真で見て期待していた露天風呂ではあったけど、得てしてその手の写真が誇大気味なのは八丈島の みはらしの湯 でも痛感していたので、期待半分不安半分なのが正直なところ。
でも、ここの露天風呂は想像していたよりかなり広々としていて、下り坂の空模様で展望は完璧ではないながらも、期待通りの開放感に大満足だった。


 


部屋に戻ってビールで乾杯していると、銅鑼のような雷と、バケツを引っくり返したような豪雨が訪れた。
時計を見ると14時過ぎ。今日のプランをコースタイム通りに歩いていたら、旅館への到着は15時手前。最後の30分はこの雷雨の中を歩かなければならなくなっていたし、とても露天風呂どころではない。コースタイムより2時間以上巻いていたことが功を奏した。
「賭けに勝った!」と思いながらも、他の登山客の無事を祈りつつ缶ビールで乾杯。そして、夕方まで泥のように眠る。



煙草屋は旅館とは言え、タイムスケジュールは基本的に山小屋なので、夕食は16時半。
1階の大広間に集まり、お膳を並べてみんなでワイワイ楽しい宴。
献立としては山小屋に近い内容だけど、やっぱりクタクタになった身体で食べる食事は最高の御馳走だ。




雨が止んだので、まだ明るい内に隣の大黒屋を偵察。
若干継ぎ接ぎっぽい建物の煙草屋に比べて、大黒屋は木造校舎のような佇まいが渋い。
露天風呂の魅力に抗えず煙草屋を選んだけど、思わず連泊を検討したくなるぐらい大黒屋も素敵。
また来ることになったとしても、この2軒はかなり悩むだろうな…





露天風呂ばかりに気を取られて内湯はあまり下調べして来なかったのだが、内湯も内湯でなかなか見事。
板張りの浴室と浴槽は綺麗に保たれていて、さすが温泉旅館といったところ。
女性専用が解除されたタイミングを見計らい、思惑通りの貸切状態でゆったり浸かることに成功した。

 


翌日は3時起床の3時半出発で朝日岳に向かう予定だったけど、山頂で日の出を見るには間に合わないし、今日の工程で概ね満足出来ていたことから、露天風呂で夜明けを待つプランに変更。

21時の消灯まで、部屋でビールやチューハイを飲みつつ、持ち寄ったツマミとカードゲームで優雅に過ごす。
ちなみに缶ビールが500円、ワンカップと缶チューハイが400円、ペットボトルのお茶とポカリが300円、ペットボトルの水と各種缶ジュース類が200円。食べ物は売っていないので持参する必要がある。
ちなみに缶チューハイはまさかの『ストロングゼロ(アルコール9%)』一択。お酒に弱い人は要注意。




陽が落ちるとスーッと涼しくなり、若干暑いのでは?と思った布団も丁度良い塩梅に。
ああ、幸せだ…


2日目 に続きます。



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那須ロープウェイ / 三斗小屋温泉 煙草屋旅館 / 三斗小屋温泉 大黒屋

 


【 山行データ 】 那須岳 1,917m (栃木県・福島県 那須連山)
コース:那須ロープウェイ 山頂駅→茶臼岳→峰の茶屋跡避難小屋→朝日の肩(朝日岳分岐)→朝日岳→熊見曽根東端→
→北温泉分岐→三本槍岳→北温泉分岐→熊見曽根東端→隠居倉→三斗小屋温泉

【 メモ 】
山頂駅と三斗小屋温泉以外、本コース上にトイレや水場は存在しない。
2日目に歩いた三斗小屋温泉〜那須岳避難小屋の間には延命水という水場があり、水量も豊富。
山頂駅〜茶臼岳山頂は一応スニーカーでも歩くことが可能だが、ガレ場なので登山靴推奨。
尾根道がメインで展望が良い分、風の吹き曝しに遭って逃げ場が無くなる区間も多いので、
急な天候悪化も想定した他の山と同等の装備は必要だろう。
全体的に指導標は整備されており、道迷いが起こるポイントはほとんど無いが、
濃霧等により見通しが利かなくなる可能性があるので留意しておきたい。
ロープウェイは悪天候で運航中止になる場合があり、その際は峰の茶屋跡から直接下山するルートも検討可能。(40分)

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